最近、当訪問歯科で診療させていただく中で、入れ歯をお作りになった患者様のお話です。
以前に他の歯医者さんで上下の入れ歯を作ったのですが、上の入れ歯は気持ち悪くて入れたくないとおっしゃっていました。本来は上と下の入れ歯の両方を装着しないとかめない状態だったのですが、下のみ入れて上は使っていなく、食べ物を飲み込んでいました。
入れ歯をされていない方ですと上と下で何が違うのかとお思いかもしれませんが、これはよくある話なのです。上の入れ歯って何が問題かというと、上顎を全ておおってしまうことで、口の中の上側の壁に厚みが出来てしまう事で喉が詰まった感覚や、熱が感じられなくなるという違和感を訴える方が相当程度いらっしゃいます。患者様が上の入れ歯を使わなくなる反応は自然と思います。
入れ歯を作成するには、約一ヶ月半かかりますが、型取りを2回、その後噛み合わせや仮合わせとなりますので最低5回程度通院が必要になりますが、当院は、訪問歯科ですので、私が都度お伺いすることになります。入れ歯は型取りが大事な行程で技術が必要です。当院では、食事介助の状態も指導させていただいていることもあり、今回は患者様に使ってもらえるように、上の入れ歯に工夫をしました。金属を一部活用して支え部分をつくり、上顎に接する面積を三分の1程度にまで減らして、違和感を緩和させていただきました。
患者様には、上と下の入れ歯を作って、上の入れ歯を使わなかったとしても、とりあえず使えるように頑張っていきましょうとお話させていただき、上の入れ歯の型取りの時に気分が悪くならないように気をつけながら型取りしました。
ご本人は最初から上の入れ歯は使うつもりはないようでしたが、私が毎回作っているのを見ていて、入れられるようだったら入れてみようかなと言って頂けました。。上の入れ歯はほとんど使っていないと言う事でしたが、実際に入れ歯が出来て以降、調整を続けながらだんだんと慣れていただきました。今では上の入れ歯が入れるのが嫌ということもなく、一口大のものであれば何でも食べられるようになったとご家族も喜んでいます。現在は、入れ歯の調整もひと段落し、口腔ケアと機能訓練(口の周りの筋肉、舌の運動)をしています。
体重も増加してきました。食欲の秋、もっといろいろなお食事を楽しみましょうね。